干場義雅が選ぶ旅の必需品 Travel Story

『FORZA STYLE』編集長として、またファッションディレクターとして
活躍する干場義雅が、旅のストーリーとともに旅の必需品を語ります。

VOL.8 ニューノーマルな時代に必要なアイテムコロナ禍で変わったビジネススタイルとは?

Photographs by Ikuo Kubota (OWL)
Styling & Text by Yoshimasa Hoshiba (STYLE CLINIC)

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干場 義雅監修
『FORZA STYLE』編集長/ファッションディレクター

プロフィール

数々の雑誌の編集者を経て、『LEON』の創刊に参画。「モテるオヤジ」「ちょい不良(ワル)」など一大ブームを作る。その後『OCEANS』を創刊し、副編集長兼クリエイティブディレクターに。フジテレビ『にじいろジーン』、テレビ朝日『グッド!モーニング』、日本テレビ『ヒルナンデス』など、テレビ番組でもおなじみ。船旅を愛する男女誌『Sette Mari(セッテ・マーリ)』の編集長として、また現在は、講談社のウェブマガジン『FORZA STYLE』(http://forzastyle.com)の編集長として活躍。著書に『世界のエリートなら誰でも知っているお洒落の本質』(PHP)、『一流に学ぶ色気と着こなし』(宝島社)、『干場義雅が教える大人カジュアル 究極の私服』(日本文芸社)がある。新聞、テレビ、雑誌、ラジオ、トークショー、イベントなど、その活動はメディアの枠を越えて多岐に及ぶ。

ニューノーマル時代での、新しいビジネススタイル

コロナ禍の影響でさまざまな価値観が変わってしまいました。それは何も自分を取り巻く環境や状況だけの話ではありません。ものやこと、身近なファッションに対する考え方や価値観も大きく変わりました。

まず、第一の優先事項として、何はともあれ個人個人が絶対にコロナにかからないように気をつけなければいけなくなったのです。そして、万が一コロナにかかってしまったとしても、絶対に人に移さないよう徹底的に注意しなければならなくなったのです。

マスクを常備し、常に着用する。うがい手洗いは必ずこまめにして、アルコール除菌も必須。常に密になることを避け、握手はせずに、ハグもしない。

コロナ禍以前だったらまったく考えられなかった行動が、当たり前になりました。そしてこういった個人の行動だけでなく、働き方をも大きく変えたのです。

テレワーク、モバイルワーク、リモートワーク、サテライトオフィス、在宅勤務……。今までまったくあり得なかった、耳馴染みの薄い言葉も当たり前になってしまったのです。誰がこんな働き方になることを想像できたでしょうか? 2020年に起こったコロナの影響は、世界の人たちの行動様式をすべて変えてしまったのです。

前置きが少し長くなりましたが、ここからが今回の本題。そう、ニューノーマル時代での、新しいビジネススタイルについてです。前述の通り、働き方がこれだけ変わっているのですから、当然、働く時のスタイルも変わってきているのです。

コロナ禍になるまでは、ビジネススタイルの基本と言えば、スーツでした。清潔なシャツを着て、ネクタイをキュッと締め、アイロンの効いたぴしっとしたスーツを着る。コロナ禍になった今でも、スーツが一番のビジネススタイルの基本であることは変わりありません。ビジネスは仕事。事を仕る(つかまつる)と書きます。事を仕るのですから、人から信用、信頼を得られなければ話になりません。スーツを着るのは仕事を一緒にする人への配慮でもあり、世界的に見てもきちっとした人であるという最低限の認識が生まれるのです。もちろん、職業柄今でも毎日出社しなければならない方は、当然スーツを着ていることでしょう。

とはいえ、在宅勤務で自宅にいるのにも関わらず、シャツを着てネクタイを締めてスーツを着る必要性があるでしょうか? ここが厄介なわけです。スーツを着ていれば一応は最低限ビジネスをするようには見えたのに、自宅でいるのに堅苦しいスーツを着ているからどこか不自然に見えるわけです。

では、いったいどうすれば自宅で仕事をするのにも相応しいビジネススタイルになるのでしょうか?ということで、今回は僕が思うニューノーマル時代での新しいビジネススタイルを提案していきたいと思います。

まずは上から順番に、僕が思うビジネススタイルの順位を書いていきます。

1_スーツに、シャツ+ネクタイ
2_ジャケット&パンツに、シャツ+ネクタイ
3_スーツに、シャツ(ネクタイなし)
4_ジャケット&パンツに、シャツ(ネクタイなし)

ここまではクールビズなどもあるので、今までのビジネススタイルの認識かと思います。ネクタイは締めなくとも、スーツやジャケパン、つまり上着を着ていれば、仕事のスタイルになるのです。とはいえ、どんな上着でも良いかというとそういうことでもなく、男のビジネスの基本色であるネイビーやグレーで、きちんと仕立てられたスーツやジャケットなら間違いないのであります。

ですので、在宅作業で1から4のスタイルをしてもいいのですが、ちょっと堅苦しいと感じるのであれば、ここからのスタイルを順番に加えてみてください。

5_スーツに、ニット
6_ジャケット&パンツに、ニット
7_シャツ一枚、もしくはニット一枚

そう、シャツの代わりにニットという選択肢を入れて欲しいのです。シャツ一枚でも、綺麗な仕立てのものできちっとアイロンが効いていれば、きちんとした印象には見えます。とはいえ、シャツは実は下着です。スーツ発祥の国、イギリスでは、淑女の前でシャツ一枚の姿になることは基本NGとされています。ジャケットは上着で、その下に着るものだからシャツは下着。「ちょっと失礼して上着を脱いでもいいでしょうか?」と、女性に一言断りを入れる男性がいますが、まさにそれこそが礼儀のひとつにもなっているのです。

装いの歴史やルーツを知ると、意外なる真実が見えてくるのです。さて、ニットの話にもどりますが……。ニットなら、どんなものがおすすめかというと、ここでも順番が出て来ます。

1_ポロニット
2_クルーネック(丸首)
3_Vネック

なぜ、この順番になるかというと、ポロニットは襟があるからです。次にクルーネックは、下着や肌が見えにくいから。Vネックは、開きがある分、一番カジュアルな印象になります。色は、ネイビーやグレー、黒などの上着に似合うように、ネイビーかブラックがいいでしょう。いずれにしても無地がおすすめです。素材は、ウールやカシミアシルクなどの混紡で、糸が細く編み目が細かいハイゲージのものを選ぶといいでしょう。

ニットの糸は太ければ太いほど、編み目も粗ければ粗いほどカジュアルな印象になります。糸は細く、編み目は細かいほどドレッシーな印象になります。ですので、上記を理解した上で、ニットを選ぶようにするといいでしょう。

おすすめは、こちらのニットたち。GIM、ブルックスブラザース、ジョン・スメドレー。いずれも、在宅でのビジネスタイルに相応しい大人の男性のためのニットと言えます。色は、ネイビーかブラックがあるので、どちらでもお好きな方を。ネックのカタチは、似合う似合わないもありますが、前述の順番を踏まえて選んでいただけると良いと思います。

テレワーク、モバイルワーク、リモートワーク。いずれにしても、いかに在宅で快適に仕事をこなせるか?ということも重要な部分です。オンラインでの会議は、パソコン上で上半身しか見えないので、普段は動きやすいニット一枚で、会議になったら上着を着用するという人も増えているそうです。会議が終わったらジャケットを脱いで、ハンガーに掛けておく。そんな風に、適材適所で上手にスタイルを変えるのもいいでしょう。

最後に、もうひとつ持っていると良いアイテムをご紹介します。それはセットアップです。セットアップって聞くと、「ん?知らないなぁ。聞いたことない!」という方もいらっしゃるかも知れませんが、セットアップとはトップスとボトムスが「お揃い」になっている洋服のこと。そう、言い方を変えているだけで、言ってみればスーツです。セットアップは、コロナ禍になる前から、働き方改革によって一番売れているヒットアイテムです。IT系にはじまり、自転車通勤をするクリエイターなど、スーツを着なくても許される職業が昨今かなり増えてきました。そういう新しい働き方をする方々にとっては、このセットアップというのが、とても機能的で便利で重宝されているのであります。
おすすめは、ネイビー無地で、ストレッチが効いた素材のもの。写真のポール・スチュアートのものは、スポーツアイテムにあるようなジャージ素材のものなので、動きやすく、とても着心地が良いのが特徴です。シャツやネクタイに合わせてもいいですし、先ほどからご説明しているニットに合わせても似合います。

コーディネイトで気をつけるべき部分は、なるべく色数を絞ること。全体の色使いを2色、3色ぐらいに抑えるのがベストです。セットアップがネイビーならニットもネイビーのものを。ネイビーニットのインナーに白いTシャツを着たら、足元のスニーカーも白で。ブラックニットにしたら、足元のスニーカーはブラックで。この着こなしに限らず、装いはなるべく色数を絞り、すっきりした印象を心がけることが何より大切です。

ということで今回は、ニューノーマル時代での新しいビジネススタイルについてお話しして来ました。スーツを毎日のように着られて来た方には、なかなか慣れないスタイルかも知れませんが、ぜひ覚えていただければ幸いです。

コロナ禍の影響でさまざまな価値観が変わり、働き方や働くスタイルも変わってきています。とはいえ、変わらないもの、人として変えてはいけない大切なものも沢山あります。もう一度、すべての本質を見直す良い機会なのかも知れないですね。いち早くコロナが終息する事を願って……。

ITEM LINEUP

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