干場義雅が選ぶ旅の必需品 Travel Story

『FORZA STYLE』編集長として、またファッションディレクターとして
活躍する干場義雅が、旅のストーリーとともに旅の必需品を語ります。

VOL.6 ジョン スメドレーのポロシャツポロシャツは、何から生まれたか?原点を知ると着こなしが楽しくなる

Photographs by Ikuo Kubota (OWL)
Styling & Text by Yoshimasa Hoshiba (STYLE CLINIC)

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干場 義雅監修
『FORZA STYLE』編集長/ファッションディレクター

プロフィール

数々の雑誌の編集者を経て、『LEON』の創刊に参画。「モテるオヤジ」「ちょい不良(ワル)」など一大ブームを作る。その後『OCEANS』を創刊し、副編集長兼クリエイティブディレクターに。フジテレビ『にじいろジーン』、テレビ朝日『グッド!モーニング』、日本テレビ『ヒルナンデス』など、テレビ番組でもおなじみ。船旅を愛する男女誌『Sette Mari(セッテ・マーリ)』の編集長として、また現在は、講談社のウェブマガジン『FORZA STYLE』(http://forzastyle.com)の編集長として活躍。著書に『世界のエリートなら誰でも知っているお洒落の本質』(PHP)、『一流に学ぶ色気と着こなし』(宝島社)、『干場義雅が教える大人カジュアル 究極の私服』(日本文芸社)がある。新聞、テレビ、雑誌、ラジオ、トークショー、イベントなど、その活動はメディアの枠を越えて多岐に及ぶ。

ポロシャツは、何から生まれたか?原点を知ると着こなしが楽しくなる

コロナ禍の影響で、先行きが不透明な状態が続き、さまざまな価値感が変わろうとしています。今まで、当たり前のように出来ていたことが、当たり前じゃない時代になってしまいました。
それは何も自分を取り巻く環境や状況だけの話ではありません。
ものやこと、旅、そして身近なファッションに対する考え方や価値観も大きく変わろうとしています。

大量生産、大量消費で生まれた、安いトレンド(流行)の洋服を毎年買い替えたり、ブランドものを沢山所有することが幸せと感じた時代から……、長く着ることができるシンプルな洋服を、自分に合った必要最低限の量だけを持って暮らすことが幸せと感じる時代に突入したのです。

僕自身、もともと派手な色や柄、デザインの洋服は好きではありません。
街を歩いていても、電車に乗っていても、周囲から振り返られるような洋服ばかりが目立つスタイルも好きではありません。
できるなら風景や周囲にそっと溶け込みたい。カメレオンのように……。
だからこそ、着るものは誰もが着るような白いシャツやグレーのスーツ、黒い靴など、抑えた色調のベーシックでシンプルな普通の洋服が好きなのです。

とはいえ、単なる普通の洋服でいいわけでもありません。
着心地が良くて、丈夫な上質な素材を使っていて、丁寧に作られているコストパフォーマンスの良い洋服でありつつ、長年の歴史の中で培われてきた定番的なアイテムのほうがいい。
長い時間を経過しても残っているブランドやモノ、基本や原点、本質的なことに対して興味が湧くようになってきたのです。
そう、わかりやすく言えば「究極の普通」。そう、僕が欲しいのは「究極の普通」の洋服なのです。

ということで、前回の「Travel Story Vol.5」では、メンズファッションを極めれば英国製にたどり着くというお話をし、そんな英国で生まれた名品「グローブトロッター」のトローリーケースをご紹介しました。
英国こそメンズファッションの原点。基礎やルールを築き、さまざまなアイテムを作って来た国なのです。それは、今回紹介する「ジョン スメドレー」のポロシャツにも同じことが言えます。まずは、そんな「ジョン スメドレー」のポロシャツの魅力を知る前に、ポロシャツとはそもそも何なのか?というお話をしたいと思います。

ポロシャツのポロとは、実は「Polo(ポロ)」というスポーツのことを指します。
サッカー競技場を約9倍にした広大な敷地で行う団体球技のひとつ。馬の上に乗って、マレットと呼ばれるホッケーのようなスティックで球を打ち合い、ゴール目がけて得点を競い合うゲームです。
1チーム4人、4馬で構成され、1人の選手には試合中4頭まで馬を替えることが許されています。
つまり、1試合するのに、2チーム32頭の馬が必要となるのです。
そのあまりにも桁外れの規模で行われるスポーツということから、「King of Sports」、スポーツの王様と例えられています。

紀元前のペルシャで始まり、騎馬隊の軍事訓練としてインド、中国、そして日本へ伝播していきました。
近代ポロのルールは、19世紀になってイギリス人によって制定されました。
植民地のひとつであったインドでポロを発見したイギリス兵たちが、本国にこの競技を持ち帰ったことをきっかけにヨーロッパ各地に伝わっていったのです。
やはり、ここでも英国の影響力の凄さがわかるのです。

そんなポロの競技からは、さまざまな洋服が生まれました。
ポロコートやポロハット、そして今回のお題目であるポロシャツも、競技者のユニフォームとしてここから誕生したのです。
当初のポロシャツは、現在のようなスタイルではなく、シャツのような襟を備えたプルオーバー(かぶり式)型でした。
素材はメリヤス、今で言うジャージー。
同じ時代にイギリスの富裕層たちの間で親しまれたテニスやクリケットなどでも、同じようなプルオーバーシャツが着られていたそうです。

そんな原型を、現代型のポロシャツとして考案したのはフランスのプロテニスプレーヤーだったルネ・ラコステ。
そう、あの胸にワニのマークを付けたポロシャツです。
ラコステは、イギリスのテーラーにテニスコートの上でより動きやすいシャツを注文し、それを試合で着て優勝し、一躍世界で有名になったのです。
ちなみに、なぜ胸にワニのマークを付けたかというと、ワニのようにボールに粘り強く食らいついて離さないプレースタイルから、その名前が付いたのです。

ラコステが、1933年にブランドを設立し、自身が試合で着ていたものをベースにポロシャツを発売。それが現在のポロシャツの原型となったのです。
その機能性と着心地の良さにより、カジュアルウェアのひとつとして世界の人々に受け入れられ一般化していきました。
以上のように、ポロシャツは、ポロのウェアから生まれたにも関わらず、テニスウェアとして世界的に認知されていく希有なアイテムであるのです。
ちなみに、当時イギリスでは、着ると皆同じように見えてしまうポロシャツに対して、性の単一化、個の喪失と非難が集中したそうです。
フランス人がスポーツ用のカジュアルなポロシャツを愛好し、イギリス人があくまでエレガントなポロシャツを愛用するのは、そこに理由があるそうです。

前置きが長くなりましたが……、今回はそんないろいろな説があるポロシャツの中から、英国が生んだ素晴らしい製品をご紹介したいと思います。
それが、「ジョン スメドレー」のポロシャツです。

「ジョン スメドレー」のポロシャツの魅力は、前述した通り、そのエレガントな佇まいにあります。
誕生したのは、ラコステよりももっと古い1784年。
イギリスでもっとも歴史のあるブランドのひとつとして知られ、ニット作りで有名になりました。
2013年にはエリザベス女王からロイヤルワラントの称号も与えられています。

今回紹介するポロシャツは、日本別注で日本人の体型に合わせて着丈・袖丈を短めに設定したベストセラーモデルです。
キモは、なんといっても素材。“コットンの王様”と称されるジョン スメドレーズシーアイランドコットン(海島綿)を使用していて、従来の綿よりも繊維が長く、シルクに次ぐ30ゲージの細い繊維で編み上げられているのが特徴です。
だから、従来のポロシャツで使われる鹿子編みとは違う、極上の着心地を約束してくれます。
一般的にポロシャツというと、カジュアルな印象がありますが、「ジョン スメドレー」のポロシャツは、クラシックなジャケットやブレザーなど、ドレスアイテムにも似合うエレガンスを兼ね備えているのも特徴です。
それは、素材だけではありません。減らし目の上品な襟や、襟の大きさ、襟の角度、タイト過ぎないゆったりとしたクラシックシルエットなど、すべてのバランスが実にエレガントに設計されているのです。

なかでも大人の男性におすすめしたいのは、ネイビーや黒といった濃い色の基本色。
一枚で着るのはもちろん、例えばグレースーツのインナーとして、例えばレザーのライダースのインナーなんかに合わせるのもいいでしょう。
いずれにしても、あまり色を使わず、同じような色調のトンオントーンで着こなすのがキモ。もしくは、白いパンンツに黒いポロシャツのように、コントラストをつけて着こなすのもおすすめです。
最後になりますが、ポロシャツは身体のラインが出るアイテムなので、極端な話を言えば日々の生活態度も露呈してしまいます。素敵な体型でいることも忘れずに。
ということで、大人の男性を素敵に見せてくれる魔法のアイテム、「ジョン スメドレー」のポロシャツ、ぜひ一枚手に入れてみてはいかがでしょう。

<ジョン スメドレー>
ニットポロシャツ

ニットポロシャツはシンプルな定番アイテムだからこそのこだわりの1枚。ベーシックな色合いやジャストサイズ、コットンの快適な着用感など、定番にしたい要素がたっぷり詰まっています。
英国の高品質ニットウェアブランド<ジョン スメドレー>のコットンの中でも特に高い品質と言われている超長綿を使用し、シルクのような光沢とカシミヤのような滑らかな肌触りが特徴です。
シルエットは日本人の体型に合わせた日本別注モデルで台襟付きのきちんと感のある表情で、ビジネスシーンにもくつろぎのシーンにもぴったりです。

カラー:ブラック、インディゴ、ネイビー、
ピュアブルー、シルバー

¥28,600(税込)

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<JOHN SMEDLEY>ANA meets MEN'S CLUB MAGAZINE

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